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「核兵器・戦争ない世界に」 「この世界の-」舞台にゆかりの夫婦 東京で講演

 アニメ映画「この世界の片隅に」の絵コンテなどを並べた特別展を開いている東京都大田区の「昭和のくらし博物館」が、区内に住む同作の舞台ゆかりの夫婦から被爆や戦争の体験を聞く会を開いた。広島で被爆した廿日市市宮島町出身の夫桃井完二さん(91)と、呉市出身の妻綾子さん(87)。約100人に語った。

 完二さんは学徒動員先の工場から自宅に帰る途中、現在の広島市西区を走っていた路面電車の中で被爆した。「ものすごい音と爆風。何が起きたのか分からなかった」。大勢の命を奪った核兵器は「世界からなくなってほしい」と訴えた。

 綾子さんの父は呉海軍工廠(こうしょう)に勤め、終戦の前年まで呉に暮らした。同作を見て少女時代の暮らしを思い返したという。「食べる物も着る物もなくつらかった」と振り返り「日本を戦争のない国にして」と願った。

 完二さんは戦後、キリスト教牧師となり、都内で綾子さんと私立幼稚園を営んだ。桃井さん夫妻の講演と合わせ、同館の小泉和子館長(86)も横浜空襲に遭った経験を話した。

 特別展は5月10日まで。開館は金、土、日、祝日の午前10時~午後5時。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて今月19日まで休館している。☎03(3750)1808。(河野揚)

(2020年3月17日朝刊掲載)

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