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歴史刻む交流拠点へ 江田島の旧海軍施設 白い洋館「海友社」

 広島県江田島市江田島町に残り、海友社と呼ばれる旧海軍兵学校下士卒集会所を交流拠点にしようと、住民たちでつくるグループが取り組んでいる。12日には、ゆかりのある人や地元の人を招きイベントを開く。(加茂孝之)

 木造2階建て、延べ約160平方メートル。白い洋館で、海上自衛隊第1術科学校に近い同町中央地区の住宅街にある。同市には珍しいモダンな造りがひときわ目立つ。

 詳しい資料は残っていないが、明治時代末に建ったと伝わる。れんが積みの基礎や縦長で上げ下げ式の窓、板張りの外壁が特徴。正面2階にベランダもある。福利厚生施設で、下士官が囲碁や将棋を楽しんでいた。日用品も売っていたという。

 市文化財保護委員長の宇根川進さん(62)は「当時の面影を残す貴重な建物」と話す。

 終戦後に払い下げられ企業の事務所になっていたが、昨年9月に閉鎖。貴重な建物を残そうと住民たちが所有者から土地とともに借り受けた。広島、呉市の人も加わり、10月に「ぐるぐる海友舎プロジェクト実行委員会」を結成。清掃活動や見学会をしながら活用策を探ってきた。

 12日は午前10時~午後5時、実行委のメンバーが活動報告などをする。基本は関係者や住民向けだが、興味のある人は参加できる。

 南川智子代表(24)=江田島町=は「市内で明治の木造建築は珍しい。江田島に貴重な建物があると知ってほしい」と願っている。

(2013年5月9日朝刊掲載)

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