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島根原発 ベント設備着工 2、3号機 14年度完成予定

 中国電力は10日、島根原子力発電所(松江市鹿島町)の2、3号機そばで、フィルター付きベント設備を着工した。事故発生時に原子炉格納容器の圧力を下げる設備で、原子力規制委員会から稼働条件として課されている。2014年度に完成させる計画。

 敷地内の事故対策拠点「免震重要棟」も同年度完成予定で、規制委から追加の対策が示されない限り、稼働に必要な安全対策は14年度内に整う。

 2、3号機のベント設備は格納容器から蒸気を放出する際に放射性物質を取り除くのが特徴で、地下に建設する。この日、中電が公開した3号機東側では長さ40メートル、幅25メートルの長方形の敷地をショベルカーが掘り進めた。

 今後、敷地の地下にコンクリート製の格納槽を設置。内部に放射性物質を除去する設備を置き配管で格納容器とつなぐ。運転開始39年を迎えた1号機は、40年を超える運転に必要な安全基準が未定とし、着工を見送った。

 中電はこの日、9月までに完成させる1、2号機海沿いの防波壁も、建設現場を公開した。4月末の工事進捗(しんちょく)率は93%で、海抜15メートルのコンクリート壁が460メートルにわたりほぼ完成した。3号機周辺の約1050メートルは11年12月に完成している。

 ベント設備や防波壁を含め、福島第1原発事故を受けた島根原発の安全対策費は約1千億円に上る見通し。

 島根原発1、2号機は定期検査で停止中。3号機は建設中。再稼働・稼働時期はいずれも不透明となっている。(樋口浩二)

(2013年5月11日朝刊掲載)

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