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原爆ドーム周辺 高さ制限で素案 市景観審 秋ごろ答申

 広島市景観審議会は25日、平和記念公園(中区)の原爆ドームを南側から見た景観を守るため、建物の高さを法的に規制する範囲を定めた答申の素案をまとめた。範囲の奥行きはドーム北側に最大5・2キロとし、ドームから遠いほど高さ制限を緩やかにする。市民の意見を募る手続きを経て秋ごろに市へ答申する。

 素案によると規制は、市が19日の景観審議会検討部会に示した内容と同じ。原爆資料館本館の下からドームを見た時の左右17度を対象としている。既存の建物には適用しない。

 原爆慰霊碑と原爆ドームを結ぶ南北線を中心にした3・1度と、それ以外のエリアに区分け。3・1度の範囲内は原爆ドームの背景に当たるため厳しい内容とし、平和記念公園の樹木で背後の建物を隠せるそれ以外と差をつけた。

 委員は「樹木は植えた後が重要。育成管理の計画にも踏み込んでほしい」「夜間の眺望についても検討してほしい」などと要望。素案への異論はなかった。

 審議会は市民の意見などを踏まえて2020年度に答申案をまとめる。会長の杉本俊多・広島大名誉教授(建築)は「具体的で説得力のある対策を盛り込めた。住民一人一人が平和都市広島の景観を守る機運を高めたい」と語った。(久保田剛)

(2020年3月26日朝刊掲載)

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