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李実根氏が死去 北朝鮮の被爆者支援

 北朝鮮在住の被爆者の支援に尽くしてきた広島県朝鮮人被爆者協議会会長の李実根(リ・シルグン)氏が25日午後5時半、腎不全のため広島市西区の高齢者施設で死去した。90歳。下関市出身。自宅は広島市西区福島町2の25の1の202。葬儀は27日午前11時から広島市中区吉島町6の18、サンセルモ玉泉院中央会館で。喪主は長男英一(ヨンイル)氏。

 1975年8月、在日朝鮮人の被爆の実態解明や、支援体制の確立のため、全国で初めてとなる県朝鮮人被爆者協議会を結成、会長に就いた。80年に発足した全国組織の在日本朝鮮人被爆者連絡協議会でも会長を務めた。

 89年7月、日本と国交がない北朝鮮に住む在朝被爆者の存在を現地で確認。訪朝を重ね、支援の道筋を探った。8月6日の広島市の平和記念式典後に開かれる市主催の「被爆者代表から要望を聞く会」では、被爆者7団体の代表者の1人として在朝被爆者の支援を要請し続けた。94年にはスイス・ジュネーブでの国連人権委員会作業部会で救済を訴えた。

 自著などによると、広島に原爆が投下された翌日の1945年8月7日、神戸市から山口県内の自宅に帰る途中、列車が不通だったため広島一帯を歩いて通過し、入市被爆した。

(2020年3月27日朝刊掲載)

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