×

ニュース

「原爆の絵碑」を移設 フジグラン広島内 3日除幕式

 脚本家の故早坂暁さんら市民団体が制作した「原爆の絵碑」が28日、広島市中区宝町のフジグラン広島の敷地内に設置された。同区富士見町一帯の再開発で、旧県女性総合センター「エソール広島」から撤去され、移設先に決まっていた。4月3日午前11時から現地で除幕式がある。

 絵碑は、被爆者が描いた3枚の絵を陶板にし、縦70センチ、横1メートルの黒御影石に貼り付けている。うち2枚は原爆ドームを描き続けた故原広司さん(2019年87歳で死去)の作品。爆心地から約1・2キロの富士見町周辺で見た被爆者や遺体が並ぶ様子を表現している。この日、専門業者の作業員によってフジグラン広島の正面入り口に設置された。

 「被爆者が描いた原爆の絵を街角に返す会」が、被爆の惨状を伝え、記憶の風化を防ごうと市内10カ所に置く絵碑の一つ。旧エソール広島の壁面に設置されていたが、県が主導するホテル整備に伴う建物の解体で18年9月に撤去された。今回の移設では、被爆建物だった旧山口銀行本通支店の外壁の一部を台座に使い、セメントで固定している。

 同会からエソール広島跡地への再設置の要望を受けた県が、同所でホテル運営を予定する米ホテル大手ヒルトンに意向を確認。明確な返答がなかったため、スーパーのフジ(松山市)に打診し、「地域の歴史をつないでいきたい」と設置の承諾を受けた。岡村信秀会長(71)は「原爆の恐ろしさを伝える被爆者の遺産を後世に残していく」と話している。(新山京子)

(2020年3月29日朝刊掲載)

年別アーカイブ