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IPPNW回想録を英訳 日本支部理事の渡辺さんが出版 「若い医師 核問題へ関心を」

 核戦争防止国際医師会議(IPPNW)日本支部理事で医師の渡辺晋さん(88)=大竹市=が、団体の反核運動の歩みや自らの被爆証言をつづった手記を英訳し、自費出版した。「若い医師に核問題への関心を高めてほしい」との思いを込めた。

 約4年前に出版した「核戦争防止国際医師会議(IPPNW)私記」を翻訳し、最近の動きを加筆した。冷戦期の1980年、核戦争の危機を痛感した米ソの医師たちで団体を結成した背景や、「チェルノブイリからの教訓」などのテーマで議論したこれまでの大会を振り返る。

 渡辺さん自身、旧制呉一中(現三津田高)2年生だった13歳の時、疎開先の飯室村(現広島市安佐北区)で多くの遺体を運び救護被爆した。「なんともいえない臭いが忘れられない。多感な時期に見た光景は今でも心の傷だ」と話す。

 「戦争は絶対にいけない」とIPPNWがノーベル平和賞を受賞した85年に入会。米トランプ政権の核政策や北朝鮮の核問題などに危機感を募らせ、約1年前から通訳の小泉直子さん=中区=と米国人フリーライター、ピーター・コーダスさん(37)=南区=と一緒に翻訳を進めた。

 A5判、152ページ。1300円。IPPNW日本支部(広島県医師会)☎082(568)1511。(桑島美帆)

(2020年3月30日朝刊掲載)

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