×

ニュース

「第九伝説」ムシカ閉店 広島復興の一コマ 74年で幕

 広島の戦後復興史に刻まれた「第九伝説」で知られる広島市南区西蟹屋の純音楽茶房ムシカが31日、惜しまれながら閉店し、74年の歴史に終止符を打った。

 最終日、店には常連客たちが訪れ、店主の梁川忠孝さん(77)をねぎらった。地元演奏家がステージで惜別のメロディーを奏でた。

 梁川さんの父義雄さん(故人)が1946年8月、南区猿猴橋町で開店。同年の12月31日、ベートーベンの交響曲第9番のレコードをかけ、原爆で傷ついた人々を勇気づけた。中区胡町に移転後、66年から長男の梁川さんが店主を務め、20年前に現在地に移った。

 店内の貸しホールは地元音楽家に愛用されたが、今月は新型コロナウイルスの影響で7公演が中止に。愛用のちょうネクタイにマスク姿でカウンターに立った梁川さんは「みなさんの支えで最終日を迎えることができて幸せ。ムシカを巣立った音楽家に、平和への思いを広めてもらえたら」と願っていた。(西村文)

(2020年4月1日朝刊掲載)

年別アーカイブ