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台湾同窓生 青春色あせぬ 引き揚げ者の会 広島で集い 高齢化で来年解散

 日本統治時代の台湾で旧制台南第一中に通った引き揚げ者でつくる「南中会」の国内最後の同窓会が12日、広島市南区のホテルであった。激動の時代に青春を生きた会員たち。高齢化が進み、南中会は、来年台湾で開く会合を最後に解散する。(野田華奈子)

 この日は、南中会の総会に続き、別の引き揚げ者グループ「台南州有志の集い」のメンバーを交えた懇親会があった。全国から、広島県内の6人を含む両団体の約80人が参加。互いの近況や台湾での思い出、戦中戦後の苦労を語り合った。

 南中会の同窓会は1953年から毎年続き、最近は各地で開いてきた。参加者の観光希望もあり、今回は広島となった。平均年齢が80歳を超え、参加者は年々減少。来年で開校100周年を迎える節目にも当たるため、来年7月初旬に台湾で開いて解散することを決めた。

 台湾で生まれ育った広島市安芸区の真藤和夫さん(83)は、台南市の空襲で友人を失い、親戚の家を焼かれた。「苦労を共にした仲間。解散はとても寂しいが、やむを得ない」と、戦後の長い年月に思いをはせる。

 「台湾はふるさと」という尾道市の水本二郎さん(81)は、訪問を今から心待ちにする。引き揚げ時、餅をついて持たせてくれた台湾の人の優しさを今も忘れない。

 南中会の有馬繁会長(86)=東京都中野区=は「南中会の名前はなくなっても、仲間の存在は生きる楽しみであり励まし。交流は続けたい」と話している。

 南中会は解散後、「有志の集い」とともに希望者同士で会合を重ねる方針でいる。

(2013年5月13日朝刊掲載)

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