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原爆ドーム 壁抜き取り 広島市 耐震 詳細調査に着手

 広島市は13日、世界遺産の原爆ドーム(中区)の耐震性を詳しく調べる調査を始めた。はりなどがなく、地震の揺れに弱いとみられる壁から試料を採取する。建物の一部を抜き取る調査は1996年の世界遺産登録後では初めて。ドームは7月26日まで作業用の足場で囲まれる。

 市の職員が立ち会う中、作業員8人が足場を組む作業を進めた。資材はクレーンで敷地内に運び入れた。本格的な調査は6月上旬からで四つのエリアで数回に分け、直径5~20センチの円筒状の試料を15カ所程度抜き取る。

 10月までに、れんがの状態や過去の保存工事で使った樹脂の劣化具合を分析。本格的な耐震補強工事が必要かどうか、本年度内に判断する。

 市はドームの耐震調査を2007年度に開始し、これまでに得られたデータをコンピューター解析。ことし1月、震度6弱の地震でも「すぐに崩壊する恐れはない」と推定した。一方で四つのエリアに揺れの負荷が集中することが分かり、詳細調査に踏み切った。

 建物の一部を抜き取る調査は87~88年の保存工事以来25年ぶり。観光で訪れた千葉市中央区の団体役員田中正晴さん(64)は「今の状態をできるだけ保ち、さらに間近で見られる工夫もしてほしい」と話した。(加納亜弥)

(2013年5月14日朝刊掲載)

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