×

ニュース

期間・ルート連絡なし オスプレイ訓練で山口県・岩国市 情報提供初回だけ 

 米海兵隊岩国基地(岩国市)を拠点にした垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの本土訓練をめぐり、山口県や岩国市が不満を募らせている。期間やルートの事前提供を求めているが、米側から連絡があったのは3月上旬の初回だけ。2回目以降は事前情報はない。オスプレイは沖縄へ12機が追加配備される見通しだが、先行搬入が見込まれる岩国では、米側の対応に批判が高まっている。(門戸隆彦)

 「当局からは事前に何の説明もない。何をしに来るのかという情報を事前に詳しくいただくことが非常に大事だと、以前から強く主張している」。山本繁太郎知事は9日、前日夜に岩国基地を拠点に行われたオスプレイ2機の夜間飛行に不快感を示した。

 本土訓練は夜間飛行を含め、これまで3回あった。初回(3月6~8日)は期間や場所に加え、夜間飛行を含むという情報が2日前までに米側から政府を通して伝えられていた。当時、山本知事は「日米合同委員会の協議を経て情報が示されたことは一つの前進だ」と評価していた。

 ところが、2回目(3月19~23日)と3回目(5月7~9日)は米側は事前に情報を提供せず、手のひらを返したような対応になった。防衛省報道室は「初回は、相次ぐ墜落事故への不安が高まる中、住民への配慮があったのではないか」とみる。

 県は訓練の際、県内の市町と連携して飛行高度など日米合同委員会の合意事項が守られているかどうかを監視している。訓練ルートなど運用面に関する事前通告は義務づけられてはいないが、県岩国基地対策室の磯村昭二次長は「事前に連絡があれば県民の不安の軽減につながるだけでなく、監視態勢も取りやすい」と強調する。

 岩国基地を拠点にした本土訓練は今後も月に2、3日間、2~6機で行われる予定。今夏には米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に追加配備する12機を先行搬入して試験飛行する見通しで、さらに多くの機体が岩国基地を拠点に離着陸や周辺での飛行を繰り返すことになる。

 12日には広島、山口、島根県の住民らが「オスプレイの配備と米軍機低空飛行を許さない市民ネットワーク」を結成するなど、追加配備を前に地元の反発機運は高まるばかり。同ネットワークの新田秀樹事務局長(49)=廿日市市=は「墜落事故の危険性や反省を踏まえ、少なくとも運用に関するすべての情報を開示する必要がある」と話している。

(2013年5月15日朝刊掲載)

年別アーカイブ