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楮山ヒロ子さん 遺影登録 広島祈念館 原爆ドーム保存の契機

 国立広島原爆死没者追悼平和祈念館(広島市中区)は6日、被爆の15年後に急性白血病で亡くなり、原爆ドームの保存運動につながる日記を残した楮山(かじやま)ヒロ子さん(1944~60年)の遺影を登録したと発表した。

 楮山さんは1歳の時、爆心地から約1・3キロの平塚町(現中区)の自宅で被爆した。高校1年だった60年3月に緊急入院し、4月に急性白血病で亡くなった。

 亡くなる前年の8月6日には、日記に「あの痛々しい産業奨励館(原爆ドーム)だけが、いつまでも恐るべき原爆を世に訴えてくれるだろう」との趣旨の記述を残した。

 この日記をきっかけに「広島折鶴の会」の小中高生たちによる原爆ドームの保存運動が始まった。官民を挙げた運動へと広がり、66年の市議会の保存決議につながった。

 今回の遺影は、中学時代の同級生の寺田正弘さん(76)=安佐南区=が提供した。ほかの同級生2人とともに昨年12月、楮山さんの生涯や保存運動の歩みを本にまとめた。寺田さんは「遺影を通じて、多くの人に楮山さんを知ってほしい」と願った。(明知隼二)

(2020年4月7日朝刊掲載)

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