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原爆資料館入館 最多175万人 19年度 本館改修など効果

新型コロナによる臨時休館 実質11ヵ月

 原爆資料館(広島市中区)の入館者数が2019年度に175万8746人となり、1955年度の開館以来で最多となったことが7日、資料館のまとめで分かった。新型コロナウイルスの感染拡大で2月29日から臨時休館しているが、昨年4月の本館リニューアルの効果や外国人旅行者の関心の高さを背景に、実質11カ月間での更新となった。(明知隼二)

 西日本豪雨の影響で伸び悩んだ18年度と比べて23万6293人(15・5%)増えた。月別は7~10月の増加が顕著で、伸び率は51・2~30・7%を記録。新型コロナの感染拡大を受けて今年2月は11・2%に鈍った。同29日からの臨時休館で、3月の入館者数はゼロとなった。

 外国人は52万2781人と、7年連続で最多となった。全ての入館者数に占める割合も過去最高の29・7%に達した。資料館は、世界最大の旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」での高い評価が押し上げる要因になったとみる。

 これまでの最多は16年度の173万9986人。オバマ米大統領(当時)の広島訪問で世界的に注目が高まった年だった。

 19年度はそれを1万8760人上回った。外国人が15万6002人と大幅に増え、国内からの訪問は13万7242人減った。資料館は「感染の収束と安全確保が大前提だが、館内の展示の充実や全国での原爆展を通じて、国内からもさらに訪れてもらう流れをつくっていく」としている。

 国立広島原爆死没者追悼平和祈念館(中区)では、19年度の入館者数が37万9163人だった。18年度比で5万4749人(12・6%)減。祈念館は臨時休館など感染拡大の影響に加えて、「リニューアルした原爆資料館の見学時間が長くなり、ツアー客を中心に祈念館まで足を運ぶ人が減った」と分析している。

(2020年4月8日朝刊掲載)

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