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鎮魂の風 思いめくる 原爆死没者名簿103冊

 広島市中区の平和記念公園で15日、原爆慰霊碑に納められている原爆死没者名簿103冊を外気に当て、劣化を防ぐ「風通し」があった。

 市職員たち18人が、広島で被爆して昨年8月5日までに亡くなった28万959人の名前を記した102冊の名簿を石室から取り出した。碑前に広げた白い布の上に並べ、傷みがないかを調べながら1枚ずつページをめくった。遺族が広島での奉納を望んだ長崎の9人分を載せた1冊も同じように風に当てた。

 修学旅行で訪れた北海道黒松内町の中学3年宮川楓君(14)は「僕たちのような市民が大勢、犠牲になった。平和のありがたさを感じる」と作業を見守った。

 約2時間後、広島と長崎の各1冊は残し、名簿を石室へ戻した。市が昨年8月6日以降に亡くなったり、新たに死亡が分かったりした被爆者の名前を書き加え、ことし8月6日の平和記念式典で納める。(田中美千子)

(2013年5月16日朝刊掲載)

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