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ヒロシマの訴え 継承したい 平和公園ガイド 外国人向け増加 し

 広島市中区の平和記念公園を訪れる外国人を案内するボランティアガイドが増えている。背景には、被爆者が高齢化する中、体験継承への使命感を抱いて仲間入りするガイドが目立つ。派遣する団体側も勧誘を強化。英語ブームや定年退職者の生きがい探しも裾野を広げている。(新山京子)

 「平和のためのヒロシマ通訳者グループ(HIP)」のメンバーは約70人。依頼者と約1時間、原爆ドームなどを巡る。

 1998年は約20人だった。着実にメンバーを増やしてきたが、特に3年前からは、毎年10人程度のハイペースで伸びた。

 英語サークルで学んできた品川千恵美さん(60)=東区=は2010年3月に入った。「高齢化する被爆者の体験を受け継ぎたい。ガイドは被爆について学ぶ機会。特技も生かせる」と明かす。

 メンバーのうち、英語で証言できる被爆者は3人。5年前より2人減った。小倉桂子代表(75)は「英語力は関係なく、平和のメッセージを伝える気持ちがあれば挑戦してほしい」と講演などで呼び掛けを重ねる。

 安佐南区の被爆2世高橋邦彦さん(65)は昨年9月、外資系企業を定年退職。HIPに入った。「新たなやりがいを見つけた。両親たちの被爆体験を海外に伝えたい」とガイドの腕前を磨く。

 市未来都市創造財団(中区)の若者向けガイド養成講座はここ3年間、定員60人を上回る応募があり、一部を断る状態が続く。大半は女性で、昨年度は学生が半数近くを占めた。本年度は20日に申し込みを締め切る。

 原爆資料館に入館した外国人は、12年度は約15万4千人。前年度に比べ約5万7千人増え、東日本大震災の影響からの回復がうかがえる。同財団は「ガイドにとどまらず、さまざまな場でヒロシマを発信する人材を育てたい」としている。

(2013年5月16日朝刊掲載)

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