×

ニュース

伝統刺しゅうでシリア女性支援 広島大大学院出身者ら 

 内戦で夫を亡くしたシリア女性を支援するため、広島大大学院出身の考古学研究者やアパレル関係者が刺しゅうの仕事を発注し、製品を販売するプロジェクトを始めた。17、18日、広島市中区で開かれたロータリー世界平和フォーラムの会場で活動をPRした。

 今月1日に始まったプロジェクト「イブラ・ワ・ハイト」は、アラビア語で「針と糸」を意味する。布などの材料を無償で提供。シリア国内や周辺の難民キャンプで仕上げた製品を適正な価格で買い取り、日本などでの販売は賛同者が担う。

 発起人の一人、広島大大学院出身の山崎やよいさん(55)=東京都品川区=は、シリアで2010年まで約20年間暮らした。北部アレッポを拠点に遺跡の発掘調査に携わった。

 2年以上に及ぶシリア内戦の犠牲者は国連の推計で6万人以上。「男の働き手を失った女性や子どもの困窮があまり知られていない」と心を痛める。

 プロジェクトはシリアの女性に引き継がれてきた刺しゅうの技術で、彼女たちが収入を得る道を開き、生活基盤の再建を支援するのが目的だ。シリアの刺しゅうは色の鮮やかさが特徴。アパレル業界や日本シリア友好協会の関係者の賛同も得た。今月下旬、第1弾の製品が日本に届く。

 ロータリー世界平和フォーラムで活動を紹介したのは、もう一人の発起人でマーケティングプランナーの志内優子さん(38)=文京区。「ゆくゆくはシリアの女性が自ら刺しゅう産業を営むようにしたい」と話した。

 プロジェクトは寄付を募っている。事務局のメールアドレスiburawahaito@mbr.nifty.com(山本乃輔)

(2013年5月19日朝刊掲載)

年別アーカイブ