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日本軍縮学会が発足 研究者らシンポ 核廃絶へ意見交換

■記者 吉原圭介

 核軍縮や核不拡散の研究者たちが11日、日本軍縮学会を設立した。東京都内で記念シンポジウムがあり、米国でオバマ大統領が就任するなど核軍縮への「追い風」を踏まえ、核兵器廃絶への課題について意見交換した。

 パネリストの明石康・元国連事務次長は「大幅な核削減は期待できるが、そこからゼロにするには困難を伴う」と指摘。核不拡散・核軍縮に関する国際委員会(ICNND)共同議長を務める川口順子元外相は「国内で核抑止論の議論が十分でない。廃絶するためには、きちんと理論整理をすることが大切」と話した。

 京都大大学院の浅田正彦教授は国際法の観点から、NPO法人ピースデポの中村桂子事務局長は市民団体の立場で、それぞれ軍縮の課題について意見を述べた。

 研究者や政治家たち約80人が集まった会場からは「日本は米国に対し、核兵器ではなく通常兵器による抑止力を求めるべきだ」「ICNNDの報告は、核保有国のできるだけ高官に届けることが重要」などの意見が出た。

 学会は大量破壊兵器や通常兵器の軍縮について研究や意見発表を進めていく。シンポに先立って開かれた設立総会で、会長に黒沢満大阪女学院大教授を選び、研究会開催や機関誌発行などの活動内容を決めた。

(2009年4月12日朝刊掲載)

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