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日印原子力交渉 「核拡散」ヒロシマ憤り 市民団体 首相に声明送る

 核拡散防止条約(NPT)未加盟で核兵器を持つインドと、原子力の最新技術を提供する協定交渉を再開する日本政府に対し、被爆地広島から20日、強い憤りと反対の声が上がった。

 NPT未加盟のインドへの新たな原発の関連機器や技術の輸出は核拡散の加担につながる恐れもある。市民団体「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」は20日、安倍晋三首相に対し、協定締結に反対する声明をファクスなどで送った。

 「インドが新たな技術を手に入れれば、パキスタンも緊張感を高める」と森滝春子共同代表(74)。「被爆国が核兵器廃絶の道に大きな危険をもたらそうとしている」と憤る。

 広島県被団協の坪井直理事長(88)も「物騒極まりない。核兵器の開発を後押しする結果になりかねん」。もう一つの県被団協(金子一士理事長)の大越和郎事務局長(73)は「政府は人の命より経済的利益を優先している」と断じた。

 福島第1原発事故の原因も解明途上の今、「日本が進めるべきはフクシマの解決」と指摘するのは、市民団体「原発はごめんだヒロシマ市民の会」の木原省治代表(64)。「交渉再開は無責任極まりない行為」と強く批判した。

軍事利用を懸念

広島市立大広島平和研究所の水本和実副所長(核軍縮)の話

 核兵器保有国のインドでは原子力の民生利用と軍事利用が表裏一体の関係にある。被爆国日本の技術が軍事利用を加速させることにもなりかねない。福島第1原発事故を経験した日本がいまだに核の危険性を過小評価し、原発をビジネスでしか考えていない、と見られてしまうだろう。

(2013年5月21日朝刊掲載)

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