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原爆資料館 来月再開も 3ヵ月ぶり 入館制限で混雑回避

 新型コロナウイルスの感染拡大で臨時休館が続く原爆資料館(広島市中区)について、松井一実市長は8日、政府の緊急事態宣言の解除が見込まれる6月1日をめどに再開を目指すと表明した。混雑による密集を避けるため、新たに入館制限を導入する。臨時休館は2月29日に始めており、再開が実現すれば約3カ月ぶりの開館となる。

 市役所で開いた市感染症対策本部の本部員会議の後、再開時期について「全国で緊急事態宣言が解除された時点が一つの目安だ」と説明した。現時点では、政府が解除を見込む6月1日をめどとする。感染状況などで政府が宣言を延長すれば、再開も先送りする。

 再開する場合は感染対策を強化する考えも示した。市によると、5月下旬にも新たに整理券の発券機を設けて1時間当たりの入館者数を制限し、互いの距離を保ってもらう。具体的な人数は今後、詰めるとした。

 広島県は現在の感染状況が続いた場合、美術館などは11日以降に休業要請を解く方針。市はこれまで資料館の臨時休館を17日までとしており、独自に延ばす形となる。松井市長は、入館者の多くが市外から訪れる点を挙げ「市民の安全を確保するためには対策が必要で、慎重にならざるを得ない」と理解を求めた。

 資料館の臨時休館は、新型コロナの感染拡大を受けて2月29日にスタート。市は当初、3月15日までとした後、段階的に延長してきた。国内外の観光客や修学旅行生たちの受け入れができず、被爆体験の講話やピースボランティアの案内が相次いで延期・中止されるなどの影響が出ている。

 市は、今月17日まで臨時休館するほかの市施設のうち、安佐動物公園(安佐北区)や植物公園(佐伯区)など一部を18日に再開する方針も示した。具体的な施設名は13日をめどに公表する。(明知隼二、新山創)

(2020年5月9日朝刊掲載)

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