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原爆資料館再開 来月1日 広島市、3ヵ月ぶり 入館制限 1日1800人

 広島市は26日、新型コロナウイルスの影響で臨時休館している原爆資料館(中区)を、6月1日に再開すると決めた。2月29日に臨時休館へ入って以来、約3カ月ぶりの開館となる。入館者数の制限などで人の密集を防ぎ、原爆被害の発信と感染防止の両立を図る。

 資料館は、国内外から広島県を訪れる観光客の主要な目的地の一つ。市幹部の間では、被爆75年の節目に少しでも多くの人に被爆の実態を伝えたいという声がある一方、開館した場合の感染リスクの高さを懸念する意見も出ていた。時期を慎重に探った結果、政府による緊急事態宣言の全面解除を受けた決定となった。

 資料館が感染を広げる場とならないよう、入館者数の上限を30分当たりで100人、1日当たりで1800人に制限し、密集と密接を生じにくくする。具体的には、入り口に新たに設置した発券機で、入館時間を30分刻みに分けた整理券を100枚ずつ配布する。見学時間の制限はしない。

 当面の対策として、家族連れを除いて5人以上で訪問しないよう呼び掛ける。音声ガイドの貸し出しやピースボランティアによる案内は中止。「被爆瓦」などの被爆資料に触れられる企画や、ミュージアムショップの営業は見合わせる。

 市は今後、混み具合や全国の感染状況などを見ながら、人数制限の緩和や開館時間(午前8時半~午後6時)の延長などを探るという。市被爆体験継承担当は「感染防止を大前提に、1人でも多くの人に展示を見てほしい」としている。

 原爆資料館と同様に、2月29日から臨時休館している国立広島原爆死没者追悼平和祈念館(中区)も、6月1日に再開する。

 市は、原爆資料館を含めて臨時休館や一部閉鎖をしている市管理の54施設について、29日から順次、全面再開する。29日に各区の図書館など44施設、6月1日に広島城(中区)など6施設を開く。最も遅いのは空調工事中の郷土資料館(南区)で、6月23日を予定する。(明知隼二)

(2020年5月27日朝刊掲載)

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