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低空飛行の目撃1727件 広島県内 過去2番目の多さ 昨年度

 広島県内で2012年度に目撃された米軍機とみられる低空飛行が延べ1727件だったことが23日、県のまとめで分かった。過去最高だった11年度に比べて322件減ったものの、調査を始めた1997年度以降では2番目に多い。県は「訓練空域とされる県北部を中心に住民の関心は依然として高い」と分析している。

 低空飛行は県内の9市町で目撃された。市町別では北広島町が最多で740件。廿日市市364件▽安芸太田町317件▽江田島市182件▽大竹市59件▽広島市28件▽三次市22件▽庄原市12件▽安芸高田市3件―と続いた。安芸太田町では11年度の143件から倍増した。

 県は10年度から、激しい騒音や学校上空の飛行など、日米合意違反が疑われる目撃情報が寄せられた場合、中国四国防衛局を通じて米軍側に事実照会をしている。

 照会件数は10年度6件、11年度5件だったが、12年度は安芸太田町や安芸高田市など県北部で目撃された8件を照会した。米軍は防衛局を通じて5件について回答、いずれも飛行の事実を認めた。3件は回答していない。

 昨年9月には三次市作木小の上空を米軍機が低空飛行したため、県は学校や病院などに配慮するとした日米合意を守るよう日米両政府に要請した。

 市民団体「岩国基地の拡張・強化に反対する県西部住民の会」の坂本千尋事務局長は「西中国山地の訓練空域である『エリア567』などでの訓練が増え、激しさも増していると感じる。実態を明らかにするため、県は騒音測定器を設置してほしい」と求める。(野崎建一郎)

広島県内 低空飛行 騒音測定器 次々と導入 自治体、被害データ蓄積

 広島県内では、後を絶たない低空飛行の実態を国や米軍に示そうと、3市町が騒音測定器を設置する。米海兵隊岩国基地(岩国市)への空母艦載機移転や同基地を拠点にした垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの訓練で被害拡大が懸念される中、低空飛行の監視網づくりを進めている。

 独自の騒音測定器は江田島市が昨年9月に1台導入。北広島町はことし1月に4台、廿日市市は今月23日に1台を設置した。3市町とも毎年、低空飛行が目撃されており、「騒音などの被害を訴えるには客観的なデータを国や米軍に示す必要がある」としている。  県内で初めて独自の測定器を導入した江田島市は「空母艦載機の移転による飛行の増加に備え、データを蓄積する狙いもある」と説明する。

 一方、県は「低空飛行訓練の被害は国が把握するべきだ」と強調。29日、国が騒音測定器を設置して実態を把握するよう、外務、防衛両省に要請する。(野崎建一郎)

三次市「低空飛行中止を」 在日米大使館などに抗議文 目撃相次ぎ「憤り」

 広島県三次市は23日、米軍機による低空飛行の中止を求める抗議文を在日米大使館(東京)や米海兵隊岩国基地(岩国市)に郵送した。2013年度は三次市内での目撃・騒音の件数が7件と、12年度の上期(4~9月)に並んだ。作木町の作木小での授業の一時中断も2回あり、書面での抗議に踏み切った。(桜井邦彦)

 市地域振興課によると、13年度に市へ寄せられた情報は、4月5日2件▽同23日1件▽同30日2件▽5月2日1件▽同8日1件-で計7件となっている。

 そのうち、4月30日と5月2日の飛行は高度別の4ランクで最も低い超低空で、いずれも米軍のFA18ホーネット戦闘攻撃機とみられている。日米合同委員会の合意で「妥当な考慮を払う」とされている学校上空の飛行もあった。

 三次市が米側に直接抗議文を送るのは今回で3回目。増田和俊市長名で、ルース駐日米大使と岩国基地のスチュワート司令官に宛てた。文面はこうした飛行に「憤りを覚える」とし、低空飛行訓練の中止を求めた。

 また、外務、防衛両省にも米側に中止を求めるよう要請文を郵送した。

(2013年5月24日朝刊掲載)

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