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平和発信 テラス脚光 修学旅行生 学びの場

 広島市中区の原爆ドーム対岸にある元安川親水テラスが、修学旅行生の平和への思いを表現する場として利用が急増。被爆ピアノや音響設備を使った大掛かりなイベントは、今年、70件に達する見通しだ。(冨沢佐一)

 「平和とは/家族とともに暮らせること/戦争とは/愛する家族と別れなくてはならなくなること…」。14日、神奈川県藤沢市の六会(むつあい)中3年生241人の群読が川面に響き渡った。被爆ピアノの伴奏で合唱も披露した。

 通りがかった人たちからは拍手が湧き、外国人観光客らは盛んにカメラに収めた。21日には名古屋市の愛知教育大付属名古屋中の生徒164人が、自分たちで被爆ピアノを弾きながら平和への願いを合唱した。

 親水テラスは1996年、水辺を楽しい都市空間にするため国が設置した。延長120メートル、幅3~5メートルの敷石の護岸。満潮でも水没せず、幅の広い部分は舞台として使える。

 とうろう流しや水辺のコンサートなどの場となり、修学旅行生の利用も次第に増加。太田川河川事務所に届け出のあった大掛かりなイベントは、2010年以降、毎年約40件行われてきたが、被爆ピアノのプロデューサー竹本宗文さん(55)によると、今年は問い合わせが多く、70件に達しそうという。

 親水テラスは原爆ドーム側や、両岸に架かる元安橋からもよく見え、まるで野外劇場。竹本さんは「ドームへ向け自らの思いを発表できるのが魅力だと思う」と話す。六会中の益子悦子教諭(56)は「平和学習の成果を生徒たちが考えまとめて発表する場としてとてもよかった」と話し、学習を深めるスペースにもなっていることを指摘している。

(2013年5月24日朝刊掲載)

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