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8・6式典 席数9割減 広島市長 被爆者や遺族優先 会場周辺の入場規制

 広島市の松井一実市長は29日、新型コロナウイルスの影響で、8月6日の平和記念式典の参列者席を例年と比べて9割減らし、最大880席にすると明らかにした。席の間隔を空けて密集や密接を避けるのが狙いで、着席は被爆者や遺族を優先する。式典前後の時間帯には、参列者以外が会場周辺に入るのも規制する。節目となる被爆75年の式典は、異例の小規模での開催となる。(明知隼二)

 参列者席は例年、1万1500席を公園内の芝生広場に並べている。今年は感染防止のため国の指針に沿い、2メートルの間隔を空ける。訪れた人が自由に座れる一般席4600席、全国から平和学習で訪れる小中学生たちの3千席などは、全て設置を見送る。

 式典は毎年約5万人が訪れ、平和記念公園内にある式典の会場周辺は特に混み合う。今年は、午前8時から営まれる式典の前後の時間帯に会場周辺への入場を規制し、混雑しないようにする。規制の時間と範囲は今後、詰める。公園内である旧制中や地区単位の慰霊祭には影響しないという。

 式典に毎年出席する安倍晋三首相には、参列を求める。全国の都道府県遺族代表や国内に駐在する各国大使たちも、例年通り招待する方針。参列の意向を示している国連のグテレス事務総長は、日本に渡航できない場合に備えて、ビデオメッセージを依頼する。こども代表によるメッセージ「平和への誓い」は例年通り実施する。

 松井市長は記者会見で「被爆体験を原点に、世界中の人に共感してもらう式典として営んできた。多くの人を招くことができない中、式典の発信の意義をあらためて確認する機会にしたい」と説明した。

 式典は1947年に「平和祭」として始まった。これまでに中止となったのは、朝鮮戦争の影響を受けた50年だけ。昨年は核兵器保有国を含む89カ国と欧州連合(EU)の代表が参列した。

(2020年5月30日朝刊掲載)

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