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真珠湾の原爆展 延期 広島市 2020年夏困難 年内で調整

 広島市は29日、太平洋戦争開戦の地となった米国ハワイ州の真珠湾で、原爆資料館(中区)が初めて開催する予定だった原爆展を延期すると明らかにした。ホノルル市の戦艦ミズーリ記念館で7月上旬から9月3日まで開く計画だったが、新型コロナウイルスの影響で断念した。現地での感染収束を前提に、年内の開催を目指して調整を続ける。

 市によると原爆展では、長崎市と共同で被爆資料や写真パネルを展示し、被爆者による証言を予定していた。しかし、ミズーリ記念館は感染防止対策で臨時休館しており、7月の開催は難しいと判断したという。

 現地では9月中旬~10月下旬、米ハワイ大ヒロ校でも原爆展を予定している。開催時期をずらすかどうかは、ミズーリ記念館での開催時期を見極めて定める。

 ミズーリは日本が太平洋戦争の降伏文書に調印した戦艦。現在は真珠湾で記念館となっている。米国では旧日本軍による真珠湾攻撃を引き合いに、原爆投下を正当化する見方もある。原爆資料館は「原爆被害の実態に触れてもらう機会は必ずつくる」としている。

 東京五輪・パラリンピックに合わせて7月中旬~9月上旬に東京都文京区、千代田区、埼玉県飯能市で予定していた原爆展は、1年先送りする方向。市被爆体験継承担当は「被爆75年の節目ではなくなるが、東京に多くの人が集まる時期に開きたい」としている。(明知隼二)

(2020年5月30日朝刊掲載)

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