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学校 やっと再開 広島県内 1ヵ月半ぶり 原爆資料館も開館

 新型コロナウイルスの感染を防ぐため臨時休校が続いていた広島県内の公立小中高校は1日、一部を除いて約1カ月半ぶりに再開した。岡山県でも県立学校が再開し、中国地方5県全てで再び授業が始まった。5県はこの日、中国地方内の県境をまたぐ移動の自粛を解除。原爆資料館(広島市中区)など各地の施設も再開した。流行の第2波を警戒しながら、社会経済活動を再始動させる動きが中国地方で広がった。(松本恭治、岡田浩平、明知隼二)

■感染防止徹底

 広島県内の各公立学校は再開に際し、1メートルを目安とした子ども同士の距離確保やマスク着用、手洗いなどを徹底している。文部科学省の衛生管理マニュアルを踏まえた。

 各校とも、感染防止とともに学習の遅れを取り戻すことが大きな課題だ。授業日数を確保するため、多くの市町教委が夏休みの短縮や行事の見直しなどを検討している。

 各校は3月の臨時休校と春休みを経て4月上旬に授業を再開。しかし、広島県教委と県内の23市町教委は、県独自の「感染拡大警戒宣言」が出たことなどから同月中旬から再び休校にした。当初、5月上旬までとした休校期間も同月末まで延長した。また県教委は、特別支援学校について6月1日に分散登校を開始。15日に全面再開する。

 山口、島根の両県教委は5月25日に、鳥取県教委は同7日に県立学校を再開させている。

■移動自粛解除

 中国5県は、各県民に求めていた5県内の県境をまたぐ移動の自粛を解除した。5県内では新たな感染確認が少なく、発生時に感染経路を追いやすい点などを理由に判断した。

 一方、5県外については各県の判断は分かれる。広島県は北海道、東京都、大阪府、福岡県など9都道府県を、山口県は8都道府県と北九州市を対象に不要不急の移動自粛の要請を続ける。島根県は15、19日に段階的な解除を検討。鳥取県は関西圏を含めず、5都道県に限り18日まで「移動は慎重に」と呼び掛ける。

■1日最大1800人

 約3カ月ぶりに開館した原爆資料館(広島市中区)は、入館者数を1日当たり最大1800人に制限するなど、感染を防ぐための新たな対策を施した。開館前から並ぶ人もいた。

 来館者には職員が入り口で整理券を配り、検温した。被爆瓦や原爆ドームの模型などは当面触らせないようにした。被爆証言やピースボランティアによる案内は1カ月後をめどに再開の可否を判断する。滝川卓男館長は「感染を防ぎながら、被爆75年の節目にできるだけ多くの人に被爆の実態に触れてもらいたい」と話した。

 資料館は2月29日に臨時休館へ入った。当初は3月15日までを予定したが、感染拡大を受けて市が6回にわたり延長していた。

(2020年6月2日朝刊掲載)

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