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原水禁大会オンライン化 8月 コロナ見通せず 原水協・禁

 日本原水協と原水禁国民会議が、それぞれ8月上旬に広島、長崎両市で開いている原水爆禁止世界大会について、今年はオンラインでの開催に切り替えることが3日、分かった。新型コロナウイルスの感染の先行きが見通せず、世界中から参加者が集うリスクを踏まえて、例年通りの運営はできないと判断した。1955年8月6日に広島市で第1回大会があって以降、実際の集会が催されないのは初めて。

 世界大会は毎年、原水協などと原水禁などが個別に実行委員会をつくり、別々に開いている。世界各地の平和団体メンバーや研究者たちが広島や長崎に集い、核兵器廃絶の道筋などについて議論する。両団体によると、原水協などの大会は延べ1万人余りが、原水禁などの大会は延べ5千人ほどが参加しているという。

 原水協などは、8月2~9日に予定していた広島市での国際会議と広島大会、長崎大会について、現地開催を断念した。ビデオ会議システムによる開催日を、国際会議は8月2日、広島大会は6日、長崎大会は9日に設定。それぞれ10人程度の講師に発言してもらう計画でいる。事前登録した千人の参加に加えて、一般向けに動画を配信する。

 原水禁などは8月4~9日の広島大会、長崎大会、7月下旬の福島大会を、それぞれ8月6、9、12日のオンライン集会とする。事前に収録した動画を配信する形式を採用し、広島と長崎の被爆者の訴えなど一部のプログラムについては生中継を探る。9日にある高校生によるシンポジウムは、ビデオ会議システムによる生中継を予定する。

 原水協の佐竹康行事務局次長は「命を守るためのやむを得ない判断だが、実際に集まって対話する意義は大きく、痛恨の極みだ」。原水禁の北村智之事務局長は「苦渋の決断。積み重ねた大会の歴史をつなぐため、オンライン開催を成功させたい」としている。(明知隼二)

原水爆禁止運動
 1954年の米ビキニ水爆実験で日本のマグロ漁船「第五福竜丸」が被災したのをきっかけに、核兵器に反対する大衆運動として全国に広がり、55年8月6日に平和記念公園(広島市中区)にあった市公会堂(後に広島国際会議場に建て替え)で第1回世界大会を開いた。運動はその後、旧ソ連の核実験などを巡る路線対立を理由に分裂。世界大会は、原水協と原水禁がそれぞれで開くようになった。世界大会は77年から一時、統一されたこともあったが、86年以降は別開催が続いている。

(2020年6月4日朝刊掲載)

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