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とうろう流し 一般参加中止 8・6 感染リスク懸念

 原爆の日の夜に原爆ドーム(広島市中区)前の元安川を約7千個の灯籠が彩る「とうろう流し」で、実行委員会は5日、今年は一般市民の参加を中止すると明らかにした。参加者や見物客の密集が避けられず、新型コロナウイルスの感染リスクを排除できないと判断した。「8・6」の風景は大きく様変わりする。

 とうろう流しは、水を求めて亡くなった犠牲者を悼み、平和への思いを発信する恒例の催し。原爆投下から数年後、遺族や住民が慰霊のため、盆の季節に灯籠を川に流したのが始まりとされる。現在は地元商店主たちによる市中央部商店街振興組合連合会(中振連)などが実行委をつくり、運営を手掛けている。

 例年は8月6日午前6時に受け付けを開始。午後6時から、ボランティアが遺族に託された灯籠を船から流したり、参加者が専用の色紙にメッセージを書いて川岸から流したりしてきた。沿岸には、風景を写真に収める人々も多い。

 実行委は、従来の開催方法では新型コロナの感染を広げる危険性は避けられないと判断。実行委の一部のメンバーでセレモニーを開き、灯籠10個を流して慰霊の催しとすると決めた。

 今年は、市主催の平和記念式典でも参列者席が9割減となる。中振連は「被爆75年という節目で非常に残念だが、精いっぱいの慰霊の思いを込めたセレモニーにしたい」としている。(加納亜弥)

(2020年6月6日朝刊掲載)

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