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被爆者人形の撤去に反対 広島の勝部さん ネットで署名990人分

 原爆資料館(広島市中区)から被爆者の姿を再現したプラスチック製人形を撤去する広島市の方針の撤回を求める署名運動が、インターネットの署名サイトで進んでいる。運動を始めて2カ月で約990人分が集まった。署名運動を始めた佐伯区の会社員勝部晶博さん(42)が近く、資料館に届ける。

 勝部さんは市が人形撤去の方針を正式表明した3月下旬、署名サイト「チェンジ・ドット・オーグ」を使って方針撤回を求める署名集めを始めた。「子どものころに資料館を訪ねた時、あの人形が何より鮮烈に胸に残った」と振り返る。

 「広島で生まれ育ったが、平和運動に関わるのは初めて」と話す勝部さんは今、9歳の長男と5歳の長女の2児の父。「人形は子どもに被爆直後の様子を想像させる何よりの手掛かり。撤去すべきではない」と訴える。

 原爆資料館学芸課は「長年議論を重ね、新たな展示計画がまとまった。展示継続の要請があれば、議論の過程や市の考えを丁寧に説明する」としている。

 人形撤去の方針を示して以降、市には撤去に反対するメールや電話が約200件あったという。(田中美千子)

(2013年5月28日朝刊掲載)

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