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被爆遺構展示公開来年度に 広島市見通し

 平和記念公園(広島市中区)の地下に残る旧中島地区の被爆遺構で、広島市は12日、2020年度中を予定していた展示の公開が21年度にずれ込むと明らかにした。新型コロナウイルスの影響で、公開の前提となる展示整備の基本計画の作成が遅れたためで、市は日程の練り直しを進める。

 政氏昭夫市民局長が市議会一般質問で「新型コロナの感染拡大で、基本計画の完成が約3カ月遅れの6月中旬となる。展示の公開は21年度にずれこむ見込みだ」と説明した。

 市は被爆遺構の展示整備を、被爆75年事業の一環と位置付ける。今年1月にまとめた整備方針によると、原爆資料館東館の北側で、被爆前は商店や住居が並んでいた旧天神町筋の一角に、遺構を覆う平屋の見学施設を建設。焼け落ちた住居の土壁の実物、焼けて炭化した畳や板材のレプリカなどをその場で展示するとしていた。

 実現に向けて基本計画を19年度中にまとめる予定だったが、新型コロナの影響で受託した東京のコンサルタント業者との会議が開けないなど、作業が遅れていた。市は今後、夏にも有識者懇談会を開き、基本計画について考古学の専門家や被爆者、市民団体などの意見を聞く方針でいる。

 8月6日に計画していた仮展示は、開催の可否を検討している。市被爆体験継承担当は「この状況下では、スケジュールの遅れはやむを得ない。展示の公開に向けて、新たな日程を精査したい」としている。(明知隼二)

(2020年6月13日朝刊掲載)

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