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ゲンの「未来」 活用探る 連載開始40周年 広島でイベント

 原爆投下後の広島を生きる少年を描いた漫画「はだしのゲン」の連載開始40周年を記念するイベントが1日、広島市中区の原爆資料館東館で始まった。作者の中沢啓治さん(昨年12月に73歳で死去)ゆかりの人たちのトークや中沢さんを追ったドキュメンタリー映画の上映などを通じて作品の魅力を語り合い、活用策を考える。

 初日は約100人が集まった。冒頭、中沢さんの妻ミサヨさん(70)があいさつで「ゲンは夫の分身。読み継いでほしい」と呼び掛けた。外国語版の翻訳者や映画の制作者たち11人が作品の魅力などを語り合った。

 ロシア語に翻訳した市民団体代表の浅妻南海江さん(70)=金沢市=は「データや記録では人の心や嘆きを表せない」と強調。「貧しい国の人々に作品を広げたい。励まされると思う」と呼び掛けた。

 前田耕一郎・前原爆資料館長(64)は、資料館が中沢さんから寄贈を受けた原画を海外の企画展に貸し出したことを紹介。「ゲンは世界を飛び回っている。今後も広める手伝いをしたい」と話した。

 はだしのゲンは1973年6月4日、週刊少年ジャンプで連載がスタートした。

 2日は午後1時から中区袋町の旧日本銀行広島支店で、アニメ映画の上映や作品をイメージしたオリジナル曲の発表がある。最終日の4日は午後6時半から原爆資料館東館で、映画「はだしのゲンが見たヒロシマ」を上映。ミサヨさんが中沢さんとの思い出を語る。(衣川圭)

(2013年6月2日朝刊掲載)

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