×

ニュース

放射線 被爆時10~44歳に影響 広島で研究会 がん死亡高リスク

 放射線の人体影響を考える原子爆弾後障害研究会が2日、広島市中区であった。広島の被爆者を対象とした研究で、当時10~44歳だった人は、残留放射線とみられる影響によってがんで死亡するリスクが高まったと指摘する報告があった。

 医師たち32人が研究成果を発表。残留放射線では広島大原爆放射線医科学研究所(南区)の大滝慈教授が、1970年から2011年まで追跡調査した被爆者6万3970人のデータを分析した結果を報告した。

 大滝教授によると、爆発時の初期放射線の影響を差し引いて考えても、爆心地から2キロ以内にいた10~44歳のがん死亡リスクは、3キロ以上離れていた人と比べて最大7%高かった。他の世代では大きな差はなかった。「この世代は爆心地近くで救援活動に当たった人が多い。残留放射線の影響ではないか」と話した。

 ほかに、福島第1原発事故での低線量被曝(ひばく)の影響を考えるシンポジウムもあった。福島県立医大の鈴木真一教授が、福島県による18歳以下の県民を対象にした甲状腺検査を紹介。「放射線による甲状腺がん発見には最短で4~5年かかる」とし、長期的な検査の重要性を訴えた。(新本恭子)

(2013年6月3日朝刊掲載)

年別アーカイブ