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[コロナ禍の8・6] 遺族代表 最少26人に 広島市 式典の概要発表

 広島市は10日、被爆75年の原爆の日に平和記念公園(中区)で営む平和記念式典の概要を発表した。新型コロナウイルスの影響で、都道府県の遺族代表の参列は26人と、これまでで最少となる。各国代表の出席は現時点で93カ国と2番目に多く、欧州連合(EU)の代表も予定する。市は感染防止のために例年の式次第を一部変えるほか、市民には参列自粛を呼び掛ける。

 遺族代表の参列は26都道府県の各1人で、これまで最も少なかった36人(2017年と19年)を10人下回る。市によると、参列者がいない21県のうち中国地方の山口、鳥取を含む10県が新型コロナの影響を挙げたという。26人の平均年齢は68・4歳で、最高齢は89歳、最年少は43歳だった。

 各国代表は昨年と比べて4カ国増え、被爆70年の節目で100カ国だった15年に次ぐ多さとなった。市は「被爆75年の節目のため、高水準になった」とみている。新型コロナによる入国制限を踏まえて、式典の案内先は昨年比で2カ国少ない155カ国としていた。

 核兵器保有国は米国、英国、フランス、インド、イスラエルが出席する。中国とパキスタンは欠席と回答し、ロシアは返事が届いていない。在日大使館がない北朝鮮には案内を送っていないという。

 式典は午前8時から50分間。「平和の鐘」を突く遺族代表は、南区の会社員松木俊伸さん(46)と、畑賀小6年竹宮未菜海さん(11)=安芸区=が担う。「平和への誓い」は、矢野南小6年大森駿佑君(12)=同=と、安北小6年長倉菜摘さん(12)=安佐南区=が読む。例年の吹奏楽や合唱は、高校生代表による被爆ピアノ演奏と歌唱などに替える。

 市は密集を避けるためとして、参列者席を例年の1割の最大880席とする。市役所で記者会見した市民局の橋場忠陽次長は「参列者数を減らさざるを得ないのは残念だが、慰霊と平和のメッセージの発信はできる限り充実させる」と述べた。(水川恭輔)

(2020年7月13日朝刊掲載)

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