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原爆資料館 映像作品に 日米芸術家グループ 360度カメラで撮影

オンラインイベント 8・6から公開

 日米の芸術家のグループ「1Future(ワン・フューチャー)」が、原爆資料館(広島市中区)の許可を得て常設展示や建物の外観を360度カメラで撮影し、「バーチャルツアー」ができる映像作品を制作している。8月6~30日、オンラインで開くイベント「ゼロプロジェクト 2020」の中で公開する。(山本祐司)

 撮影班は、閉館後の本館にカメラを持ち込み、約1メートルずつ進みながら全方向を撮影。3日間かけて、犠牲者の衣服や「市民が描いた原爆の絵」などが両側に並ぶ見学ルートを画像に収めた。専用のシステムで編集すれば、自ら歩を進めて展示を見学したり説明を読んだりしているように見えるデジタル映像になる。

 被爆時の傷痕が残る実物資料のこま撮りも行った。3D映像に加工し、今回撮影した館内映像などと合わせて「フューチャー・メモリー」と題した一本の作品にする。藤元明さん(44)=東京都=は「被爆者が少なくなっていく中、新たな方法で被爆体験を知り、思いを分かち合いたい」と狙いを語る。

 ワン・フューチャーは、ルポ「ヒロシマ」で被爆地の惨状をいち早く世界に伝えたジョン・ハーシーの孫、キャノン・ハーシーさん(43)が代表を務める米国のNPO法人。広島国際文化財団の協賛で2017年から毎年、広島市内でイベントを主催してきた。

 今年は新型コロナウイルスの影響により、オンラインのみでの開催。「フューチャー・メモリー」公開のほか、キャノンさんらがルポ「ヒロシマ」を解説するイベントなどを予定している。

(2020年7月12日朝刊掲載)

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