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旧日銀支店改修に着手 広島市 芸術・文化拠点に 国重文指定も目指す

■記者 東海右佐衛門直柄 

 広島市は、市重要文化財の被爆建物である旧日本銀行広島支店(中区)の改修に着手した。バリアフリー化や耐震補強を進め、芸術・文化拠点としての機能性アップを図る。同時に国の重文指定を目指し、修復・復元プランづくりを本格化させる。

 20日に始める工事では壁や柱の一部を補強し、老朽化で使えなかったエレベーターを更新。西側の正面玄関にある木製スロープを撤去し、東側にスロープ付きの2カ所目の玄関を新設する。工費は2億7500万円。展示スペースなどの利用は来年3月の工事完了後に再開する。

 市は改修と並行し、国の重文指定を視野に文化庁や日銀などと協議を進める。将来の修復・復元プランを年内にも固める方針だ。

 文化財課によると、原爆投下で焼失した3階の天窓を復元し、自然光が吹き抜けを通じて1階まで届くようにする構想もある。原爆で飛び散ったガラス片の傷が残る支店長室の床の公開に向けた修復方法も検討する。

 旧日銀広島支店は1936年に完成した。爆心地から380メートルの地点にあり、原爆で3階を中心に内部が大破。職員たち20人が亡くなったが、破壊は免れた。市は2000年に市の重文に指定し、所有する日銀から無償貸与を受けた。昨年度は神楽の上演や写真展、美術展など18の行事を開催し、5万4700人が訪れた。

 国の重文に指定された場合、日銀は市に土地・建物を無償譲与することで合意している。

(2009年4月18日朝刊掲載)

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