細菌使いセシウム除去 福島の農地で実証開始 広島国際学院大
13年6月4日
光合成細菌を使った放射性セシウムの回収実験に成功した広島国際学院大(広島市安芸区)の佐々木健教授(63)とゼミ生たちが、福島県の汚染農地で除染作業を始めた。ボランティアだが「実験でなく実証の段階。早く技術を広めたい」と意欲的だ。
南相馬市と浪江町の2戸の農家で5月13日スタート。それぞれで50リットル用コンテナ2個に汚染農土を入れ、光合成細菌の処理剤を混ぜる方法で除染する。同月末までに計約100キロの土を処理し、放射線量が高い部分で毎時7~8マイクロシーベルトだったのが7割程度除染できたという。6月6日までにさらに30キロ程度除染する。
毎日数時間ずつコンテナ内を混ぜる手作業が必要なため、同大4年の石井貴浩さん(21)と岡川真和さん(21)が約2週間作業した。石井さんは「復興に情熱をかける農家に命の重みを教わった」。岡川さんは「広島から来たことで注目される」と作業の責任をかみしめる。
この技術は、他大学の研究とともに、文部科学省の助成研究に採択された。2014年度から福島県内で共同実験が始まるが、同教授は「それまで待てない。少しずつでも処理したい」と話している。
浪江町の福島第1原発から14キロ地点の農地を同教授に提供する「希望の牧場」代表吉沢正巳さん(59)は「農家の目線で地道に取り組んでくれている。実績をアピールして行政支援を取り付けるなどで規模が拡大してほしい」と期待している。(田中伸武)
光合成細菌のセシウム回収
バイオ・リサイクルが専門の佐々木教授が開発した光合成細菌「ロドバクタースフェロイデスSSI」をアルギン酸と混ぜて作ったビー玉状の粒を汚染土に水や乳酸菌と一緒に混ぜると、粒にセシウムが吸着する。汚染粒は乾燥、焼却させると容積が97%減るため、保管場所が大幅に縮小できる。
(2013年6月4日朝刊掲載)
南相馬市と浪江町の2戸の農家で5月13日スタート。それぞれで50リットル用コンテナ2個に汚染農土を入れ、光合成細菌の処理剤を混ぜる方法で除染する。同月末までに計約100キロの土を処理し、放射線量が高い部分で毎時7~8マイクロシーベルトだったのが7割程度除染できたという。6月6日までにさらに30キロ程度除染する。
毎日数時間ずつコンテナ内を混ぜる手作業が必要なため、同大4年の石井貴浩さん(21)と岡川真和さん(21)が約2週間作業した。石井さんは「復興に情熱をかける農家に命の重みを教わった」。岡川さんは「広島から来たことで注目される」と作業の責任をかみしめる。
この技術は、他大学の研究とともに、文部科学省の助成研究に採択された。2014年度から福島県内で共同実験が始まるが、同教授は「それまで待てない。少しずつでも処理したい」と話している。
浪江町の福島第1原発から14キロ地点の農地を同教授に提供する「希望の牧場」代表吉沢正巳さん(59)は「農家の目線で地道に取り組んでくれている。実績をアピールして行政支援を取り付けるなどで規模が拡大してほしい」と期待している。(田中伸武)
光合成細菌のセシウム回収
バイオ・リサイクルが専門の佐々木教授が開発した光合成細菌「ロドバクタースフェロイデスSSI」をアルギン酸と混ぜて作ったビー玉状の粒を汚染土に水や乳酸菌と一緒に混ぜると、粒にセシウムが吸着する。汚染粒は乾燥、焼却させると容積が97%減るため、保管場所が大幅に縮小できる。
(2013年6月4日朝刊掲載)