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コロナ対策徹底 米軍へ政府要請 基地周辺 不安広がる

 政府は在沖縄米軍基地内での新型コロナウイルス感染を受け、日本国内にある米軍基地から基地外への感染拡大を防ぐための対応を十分に講じるよう、外交ルートを通じて米側に求めた。複数の外務省幹部が14日、明らかにした。関係自治体で不安が広がっている実情を踏まえた。

 感染者数と死者数が世界最多の米国を、日本政府は入国拒否の対象国としている。だが米兵らについては、日米地位協定に基づき特権的な地位を認めており、入国拒否の対象にならない。日本政府としては米軍への働きかけを通じ、感染防止への前向きな姿勢を引き出せるかどうかが課題になる。

 省幹部によると、米側への要請は11日、外務省の鈴木量博北米局長がヤング駐日臨時代理大使に電話で伝えた。具体的には、在日米軍が実施している感染防止策の徹底を求めた。米側はこれに理解を示したという。

 菅義偉官房長官は14日の記者会見で、米軍が感染対策で使用している沖縄県・北谷町にある基地外の民間ホテルに関し「消毒の実施や手袋の着用など、米側が隔離者や従業員に厳格な措置を実施していることを確認した」と説明。懸念されていたホテル内の管理状況に問題は見当たらないとの認識を示した。

 沖縄の米軍基地を巡っては、普天間飛行場(宜野湾市)などでクラスター(感染者集団)が発生したとみられ、14日までに約100人の感染者が確認された。米軍の感染防止対策について、沖縄県は「強い疑念を抱かざるを得ない」(玉城デニー知事)としている。このほか三沢基地(青森県三沢市)、岩国基地(岩国市)などでも感染者が出ている。

(2020年7月15日朝刊掲載)

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