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岩国基地 感染は米の3人 羽田で検査 待機要請を無視

 米軍岩国基地(岩国市)で新型コロナウイルスの感染が初めて確認されたことについて、山口県は14日、感染者は米国から12日に来日した米国人3人だと明らかにした。羽田空港で受けたPCR検査で陽性反応が出た。ただ、検査結果を待たず、陰性であっても2週間待機するよう要請されたにもかかわらず、13日午前に民間機で岩国錦帯橋空港に到着していた=2・27面に関連記事。(渡辺裕明、坂本顕)

 県によると、3人は40代の男女と10歳未満の女性で家族という。県庁で記者会見を開いた村岡嗣政知事は感染結果が出るまで待機しなかったことに「こんなことが起こるとは驚きだ。国のルールを守るよう基地に求めたい。陽性判明時にどこに行ったか分からなければ水際対策になっていない」と批判した。

 岩国基地は14日の発表資料で複数の感染者は同一世帯に属し、13日に羽田から岩国に民間機で向かったと説明。一方で感染人数や軍人か軍属など所属に対する取材には「基地内での追跡調査は完了した。感染者は基地内で隔離下にあり、新たな接触感染をもたらすリスクは低い」とだけメールで返答した。

 感染者が利用した全日空の羽田からの到着便には51人が搭乗。感染予防で客室乗務員による飲み物の提供など機内サービスは休止している。同社岩国空港所の村重光所長は「席は3分の1しか埋まっておらず、座席登録では乗客はばらけていた」としている。県岩国健康福祉センター(岩国市)と基地が協力して濃厚接触者を調査。判明し次第、PCR検査を実施する。

移動手段 虚偽申告

 河野太郎防衛相は14日夜、新型コロナウイルス感染が確認された米軍岩国基地(岩国市)の関係者3人が羽田空港に入国後、民間機で岩国錦帯橋空港に移動していたことを明らかにした。日本側には「レンタカーで移動する」と虚偽の申告をしていたという。防衛省で記者団に「極めてゆゆしき事態だ。米側には厳格な処分と再発防止の徹底を申し入れた」と強調した。

 河野氏によると3人は米国から12日に入国し羽田空港で検査を受けた際「公共交通機関は使わず、レンタカーで移動する」と申告。実際は民間機で岩国空港まで移動していた。米側は厳格な処分をするとしている。

 同じ便の乗客で濃厚接触が疑われる人には保健所からPCR検査を要請する方針だ。

(2020年7月15日朝刊掲載)

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