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[コロナ禍の8・6] 禁止条約「表現強める」 広島市長

 広島市の松井一実市長は14日、平和宣言で焦点となっていた核兵器禁止条約への言及について、昨年よりも踏み込んだ表現とすることに意欲を見せた。懇談会で「日本政府への期待感をさらに強める表現が望ましいという意見を生かしていきたい」と意気込んだ。

 関係者によると、今年の平和宣言の文案では「被爆者の思い」との表現は引き継ぎつつ、禁止条約の締結を被爆国としての前提と位置付ける。その上で国際的に共感を広げる役割を果たすよう求めるという。

 昨年の平和宣言では、政府に対して「禁止条約への署名・批准を求める被爆者の思い」を受け止めるよう訴えた。ただ、被爆者団体や反核団体などからは「市長自らの言葉で訴えるべきだ」などの声が出ていた。

 こうした動きを背景に、今年は懇談会の委員からも「政府への期待感をさらに強めるのが望ましい」との声が寄せられていた。松井市長は懇談会の終了後、表現を昨年と比べて「強め」にすると説明。会合でも肯定的な評価を得たとした。

 新型コロナウイルスの感染防止対策で、被爆75年の平和記念式典の参列者席は例年に比べて9割減の最大880席となる。松井市長は、平和宣言の役割が例年以上に重要になるとした上で「新型コロナと核兵器はいずれも人類への脅威であり、連帯によって乗り切らなければならない。あるべき方向を共感してもらえる内容にしたい」と誓った。(明知隼二)

(2020年7月15日朝刊掲載)

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