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昭和20年代実践 平和教育の原点 被爆75年 広島市センターがリポート

 被爆75年を前に、広島市教育センター(東区)は、被爆後間もない昭和20年代に市内の小学校で行われていた平和教育に関するリポートをまとめた。当時、先進的に取り組んでいた己斐小(西区)の実践例などを紹介。「被爆75年という節目に原点を見詰め、現代の平和教育の在り方を模索したい」としている。

 センターは1949年に作成された同小の指導計画書などを分析。計画書は95年、当時の教員が保管していたことが分かり、複写がセンターで保管されていた。

 注目したのは6年生が卒業前に臨む単元「広島と平和」。計画書によると、児童はまず、原爆や世界での日本の立場について自ら調べ、広島の都市計画や平和構築についての将来像をまとめる。学習期間を約2カ月間も確保し、子どもの自主性を重んじた内容だ。

 教員の指導目標を記す欄には「平和都市再建に協力する態度をつける」「よりよい社会へと希望を持たせる」との記述もある。悲惨な状況の中でも、子どもの未来志向を育もうとの気概がうかがえる。

 松浦宰雄(みちお)所長(57)は「単に戦争反対を唱えて知識を授けるのではなく、子どもに自ら調べさせ、考えさせようとした現場の姿が浮かぶ。市が目指す『平和への教育』の原点を再確認できた」と強調。今後の教員研修などに生かすという。

 リポートでは被爆後、学校が再開し、市が教育目標を定めるまでの変遷も年表で紹介している。リポートは同センターのホームページで公開している。(奥田美奈子)

(2020年7月15日朝刊掲載)

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