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被爆シャツや訓練用木銃 甲山 戦後75年 節目の証言展

 世羅町内などで所蔵されている戦時中の衣類や武器などを集めた「平和への証言展」が18日、同町甲山の大田庄歴史館で始まった。町教委が寄贈を受けた、被爆の惨状を刻んだシャツなど約100点が並ぶ。

 広島市中区白島辺りで被爆した男性が着用していたシャツは背中の多くを焼失し、袖口などに血とみられる痕が残る。男性の妻が町出身者である縁で、町教委に昨年寄贈された。町内は被爆の直接的な史料が乏しく「悲惨さを伝える貴重な資料」として初公開した。

 このほか旧制世羅中(現世羅高)の授業で使った訓練用の木銃やランドセル、女性や高齢者たちによる農作業の写真、学徒動員先の呉市から見たとされる原爆のきのこ雲を描いた絵はがきも。海軍や陸軍大臣から戦傷者へ贈られたつえや、旧満州(中国東北部)の開拓から引き揚げる乗船者の名簿も並べた。

 三次市吉舎町から訪れた前田博明さん(76)は「戦争の恐ろしさを、各地で身近に伝えていくことが重要だと思った」と話していた。

 企画展は戦後75年の節目に町教委が主催し、9月6日まで。8月19日には展示を一部入れ替え、町内の戦争体験者たちの証言パネルを入れる。月、火曜休館。7月25日、8月15日、9月6日は展示説明会も開く。町教委☎0847(22)4411。(神下慶吾)

(2020年7月19日朝刊掲載)

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