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被爆者団体37%継続困難 2025年 高齢化・後継者不足 本社アンケート

 被爆75年に合わせて中国新聞社が全国の被爆者団体を対象に実施したアンケートで、回答した団体のうち4割近い37・1%が、被爆80年となる2025年に活動を継続できていないと考えていることが19日、分かった。理由(複数回答)として、97・4%が会員の高齢化を、74・4%が後継者不足を挙げた。被爆の記憶の継承や核兵器廃絶の訴えを粘り強く手掛けてきた被爆者団体は今、相当数が今後の展望を描けていない。(久保田剛)

 アンケートは被爆70年を迎えた15年から、原爆の日を前に毎年、各都道府県の被爆者団体と中国地方5県の地方組織を対象に実施している(西日本豪雨で見送った18年を除く)。今年は全国の107団体に協力を依頼し、98・1%の105団体から回答を得た。

 被爆80年となる5年後も団体の活動を継続できると考えているかどうかの質問で、「できない」と答えたのが37・1%の39団体だった。都道府県組織では29・3%だったのに対し、5県の地方組織では42・2%に高まる。規模が比較的小さいとされる地方組織で、より厳しい実情が浮かぶ。

 「できない」と答えた理由(複数回答)は「会員の高齢化」が97・4%で最も多い。活動の中核を担ってきた被爆者の老いが、団体の存続を厳しくしている。「後継者がいない」が74・4%、「活動資金の不足」が23・1%で続き、「会は役割を終えたと考えている」も12・8%あった。

 5年後の活動継続が「できる」としたのは、48・6%の51団体だった。残る14・3%の15団体は無回答。欄外に「わからない」「どちらとも言えない」などと記述している団体が多い。

 厚生労働省によると、被爆者健康手帳を持つ被爆者は3月末時点で13万6682人となり、初めて14万人を割り込んだ。最も多かった1981年3月末の37万2264人と比べると4割弱の水準。平均年齢は過去最高の83・31歳となった。

 アンケートでは活動の現状なども尋ねた。被爆75年の今年で最後になる行事や活動が「ある」と回答したのが7・6%の8団体、解散や統合の予定が「ある」と答えたのが14・3%の15団体あった。団体としての定期的な活動が「できていない」のは23・8%の25団体、団体の内外に被爆2世の組織が「ある」のは44・8%の47団体だった。

 ≪調査の方法≫6月中旬にアンケート用紙を郵送。返信に加えて、一部は電話や対面での聞き取りをした。送付先は、日本被団協を構成する各都道府県組織やオブザーバー参加している広島県被団協(佐久間邦彦理事長)、県単位での活動がない山形県で日本被団協と連絡を取り合う鶴岡市の「つるおか被爆者の会」、中国地方5県の各県組織の支部や地域の会など計107団体。被爆70年に合わせて初めて実施した2015年は計125団体だったが、解散などが相次いだため減少している。

(2020年7月20日朝刊掲載)

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