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交渉「商戦に重き」 日印原子力協定 松井市長が批判

 広島市の松井一実市長は4日の記者会見で、核拡散防止条約(NPT)未加盟の核兵器保有国、インドと原子力協定の交渉再開で合意した日本政府の対応を、「人類全体の平和をつくり上げるとの長期的な視点より、商戦という短期的な視点に重きを置いている」と批判した。

 松井市長は「広島は個々の利益を超え、長期的な視点で考えるよう訴えてきた。受け止めてもらえず残念だ」と強調。政府へ交渉中止の働き掛けを続ける姿勢も示した。

 岸田文雄外相が「インドを実態的にNPT体制に取り込む契機になる」との認識を示したことについても「逆効果となる可能性が高い」と指摘。NPT体制の空洞化につながる、との見方をあらためて示した。

 両政府の交渉再開の動きを受け、松井市長は5月24日、安倍晋三首相と岸田外相宛てに交渉を再開しないよう求める要請書を出した。安倍首相は29日、来日したシン首相と会談し、交渉再開を決めた。(田中美千子)

(2013年6月5日朝刊掲載)

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