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[コロナ禍の8・6] 灯籠流し 仮想空間で おりづるタワーなど特設サイト設置

旧市民球場 大型画面に映像

 新型コロナウイルス感染拡大のため、広島原爆の日の8月6日夜に原爆ドーム(広島市中区)前の元安川である「とうろう流し」の一般参加が中止されたのを受け、おりづるタワー(同区)などは28日、「オンラインとうろう流し」を実施すると発表した。特設サイトを設けて仮想空間での灯籠流しを体験してもらい、世界へ発信する。「被爆75年の節目に、核兵器廃絶や平和への思いを寄せてほしい」と参加を呼び掛けている。(馬上稔子)

 特設サイトは、任意団体「第三世代が考えるヒロシマ『 』(かっこ)継ぐ展」の協力を得て8月5日に開設する。参加者は好みの色の灯籠を選び、メッセージを入力して仮想の川に灯籠を浮かべる。無料で、8月末まで参加できる。

 原爆ドーム近くの旧市民球場跡地には大型スクリーンを設置。とうろう流しの中止を知らずに訪れた人や、今回のプロジェクトを現地で体験したいと思う人たちのために6日午後7~10時、オンラインとうろう流しの映像を流す。

 例年、とうろう流し会場では漫画「はだしのゲン」の作者、故中沢啓治さんが残した詩から作った曲「広島 愛の川」の合唱もある。今回、加藤登紀子さんたち歌手7人と日米中など17カ国の約150人が同曲を歌う動画を制作し、大型スクリーンで公開する。

 とうろう流しは原爆投下から数年後、遺族や住民が慰霊のため、盆の季節に灯籠を川に流したのが始まりとされ、近年は約7千個の灯籠が元安川を彩る。今年は地元商店主たちでつくる実行委員会の一部メンバーによるセレモニーにとどめる。

 同タワー代表で広島マツダ(中区)の松田哲也会長は「広島の大切な思いを紡ぐのが私たちの使命。人々の思いを受け止め、発信する一助になれば」と話している。特設サイトはhttp://tourounagashi.org/

(2020年7月29日朝刊掲載)

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