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[コロナ禍の8・6] ヒロシマの今 4Kで提供 広島FC撮影 海外での報道後押し

 新型コロナウイルスの影響で広島取材ができない海外メディアに活用してもらおうと、広島フィルム・コミッション(FC、広島市中区)は市中心部で撮影した超高精細の4K映像をインターネット上で無償提供する準備をしている。各国での被爆75年報道の後押しになることを願う。

 映画「彼女は夢で踊る」や「鯉(こい)のはなシアター」の監督で広島を拠点に活動する時川英之さん(47)が協力し、原爆ドームや原爆資料館、市の花キョウチクトウなど15カ所程度を撮影している。テレビニュースでの使い勝手を考えて、1本15秒前後。「75年草木も生えないと言われた広島の戦後の歩みと、現在の姿が伝わる映像にしたい」と時川さんは話す。

 動画提供は、同FCの西﨑智子さん(54)が「節目の年に、海外で原爆被害の実態を伝える報道が激減しかねない」と危機感を抱いたことがきっかけだ。

 映像作品の広島ロケなどを誘致、支援する同FCは、被爆70年の2015年に計254件を受け入れた。うち海外からが38件。米大統領だったオバマ氏やローマ教皇の訪問で広島への関心はさらに高まっており、今年は5年前以上の受け入れを期待していた。

 ところが新型コロナウイルスの感染拡大で、オーストリア国営放送などが相次ぎ来日を断念しており、海外関係の支援は現在ゼロ。東京に拠点を持つ大手放送局などを除き、広島取材は難しい状況が続く。

 西﨑さんは「各国の記者がそれぞれの目線で、ヒロシマ報道を積み重ねることに意義がある。何とか続けてほしい」と話す。8月1日、同FCウェブサイトに動画のダウンロード先を掲示し、利用を働き掛ける。(金崎由美)

(2020年7月31日朝刊掲載)

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