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岡山大でキッシンジャー氏講演 「核を取り巻く環境危険に」

■記者 林淳一郎

 米国のヘンリー・キッシンジャー元国務長官(85)が20日、岡山市の岡山大津島キャンパスで講演した。核不拡散をはじめ金融危機、気候変動など世界が直面する課題を挙げ、克服にはアジアと米国の協調が欠かせないと強調した。

 2007年1月、米紙に元米高官らと連名の提言「核兵器のない世界」を寄稿したキッシンジャー氏は、この日の講演でも核拡散問題に触れ、「核を取り巻く環境はますます危険になっている。グローバルなアプローチが必要だ」と指摘した。

 北朝鮮の核開発問題については、六カ国協議こそが解決への道を開くとし、協議継続の重要性を説いた。

 また世界情勢全般を「変革の時を迎え、重心がアジアに動きつつある」と分析。金融危機などは「1カ国だけでは対処できない。米国を含む環太平洋地域の協力関係を築くことが重要」と訴えた。

 会場からの質問にも答え、米国の現状については「唯一の超大国ではなくなったと自覚しなければならない」との見方を示した。

 講演は岡山大、岡山放送などの実行委が主催。中継した別会場も含め計約600人が聴講した。

(2009年4月21日朝刊掲載)

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