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麦に学ぶゲンの心 矢野南小収穫 中沢さんの妻も

 昨年12月に73歳で亡くなった漫画家中沢啓治さんが最後の講演をし、代表作「はだしのゲン」の象徴の麦を育てている広島市安芸区の矢野南小で7日、4年生93人が収穫作業をした。中沢さんの妻ミサヨさん(70)や地域の協力者も見守り、ゲンのたくましさと反核への思いをあらためてかみしめた。

 校舎屋上の約660平方メートルの畑に植えられた麦は、中沢さんの思いを込めた種を広める運動に取り組むNPO法人一念発起(平田冨美子理事長)が提供。昨年11月に当時の3、4年生が大麦と小麦の種をまき、草取りなどをして育ててきた。

 児童が鎌で丁寧に刈り取り、ミサヨさんも手伝って25キロを収穫した。NPO役員や住民らが粉にし夏休みまでにうどん食事会をするほか、NPOの運動に協力し全国へ配る。賀渕彩花さん(9)は「実がいろんなところに広まってほしい」と話す。

 ミサヨさんは「麦は、踏まれて育つゲンの姿が重なる。主人は種まきに参加を予定しながら入院して亡くなったので残念だが、平和の象徴として種が受け継がれていくのはすばらしい」と喜んでいる。(田中伸武)

(2013年6月8日朝刊掲載)

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