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被爆75年 鎮魂の祈り込め 5・6日 広響「平和の夕べ」

 5、6日の公演が近づいてきた広島交響楽団の「平和の夕べ」コンサート。被爆75年に当たり、今年は2日間にわたって広島市中区の広島文化学園HBGホールで開催する。新型コロナウイルスの影響で海外からのゲスト奏者が来日できなくなったため、プログラムを大幅に変更。静粛な祈りに満ちた選曲に、平和への思いを込める。

 今公演の話題は、ピアノ協奏曲「Akiko’s Piano」の世界初演。現代作曲家の藤倉大(英国在住)が、広島の原爆で亡くなった女子学生・河本明子さんをテーマに作曲した。出演予定だった世界的なピアニストのマルタ・アルゲリッチに代わり、安佐南区出身のピアニスト萩原麻未がソリストを務める。

 広響は当初はこの曲に加え、平和をたたえるベートーベンの「第九」を演奏する予定だったが、コロナの影響で断念。指揮を担う下野竜也・音楽総監督が「明子さんの人生に思いをはせ、祈りの時間を共有したい」とプログラムを再編した。

 幕開けは、ヒロシマにささげた代表作で知られるポーランドの巨匠、ペンデレツキの「シャコンヌ」(ポーランド・レクイエムより)。次いで「Akiko―」を披露する。後半は、世界的なメゾソプラノ歌手藤村実穂子との協演でマーラー「亡き子をしのぶ歌」のほか、ベートーベン「カバティーナ」(弦楽合奏版)、バッハ「シャコンヌ」(斎藤秀雄編曲)を届ける。

 開演は両日とも午後6時45分。S席5千円、A席4千円(学生2千円)。観客の間隔を確保するため、1公演につき満席の半数に当たる880席を販売。自宅での検温や会場内でのマスク着用、演奏後の歓声禁止など、来場者に理解と協力を呼び掛けている。6日の公演はインターネットで無料生配信する。広響事務局☎082(532)3080。(西村文)

(2020年8月1日朝刊掲載)

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