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社説・コラム

[NIE これ読んで 担当記者から] 中高生記者が考える慰霊

■ヒロシマ平和メディアセンター・山本祐司

体験継承 ネット活用案

 被爆75年の節目に、広島市が8月6日に平和記念公園(中区)で営む平和記念式典は、新型コロナウイルスの感染を防ぐため縮小して開かれる。一般席がなくなり、決まった人以外は参列できない。中国新聞ジュニアライターの中高生記者たちは、自分たちにどんな慰霊ができるか考えた。(7月27日付朝刊)

 国内外から多くの人が集い、午前8時15分の「平和の鐘」に合わせ黙とうする毎年の光景が、今年は変わりそうです。芝生の上に並ぶパイプ椅子は、880席と例年の1割ほど。広島市長が「平和宣言」を読み上げた後にハトを飛ばす行事も中止になります。

 ただ市は、「慰霊、平和の祈念、次世代継承」という三つの使命は変えることなく式典に込めるといいます。参加者を減らして規模は小さくしますが、式次第はほぼ同じです。「さみしい」感じがあるかもしれませんが、本当に大切なのは、原爆で亡くなった人や、苦しんだ人の命に思いを寄せることでしょう。

 ジュニアライターも式典の現地取材を見合わせます。そこで、どんな慰霊ができるのか考えました。やはりインターネットを活用した提案が多く出ました。

 平和のオンラインイベントに参加する▽原爆資料館のウェブサイトで被爆者証言ビデオを見る▽会員制交流サイト(SNS)で平和発信する―などです。広島でも高校生が中心になり、ビデオ会議システムを使って被爆体験を聞く輪が広まりつつあります。

 家族と平和や戦争について話す▽自分の地域の慰霊碑を調べる▽原爆に関する映画や漫画、本を見る―といったアイデアもありました。被爆者の平均年齢は今年、83歳を超えました。コロナ禍を機に、次の世代が何を受け継ぎ、どう行動するのか、考えてみませんか。

(2020年8月2日朝刊掲載)

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