×

ニュース

核廃絶の道筋オンライン議論 原水協など世界大会始まる サーローさん「安倍首相 運動のリーダーに」

 日本原水協などの原水爆禁止世界大会が2日始まり、オンラインによる国際会議を開いた。被爆75年の節目の大会は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため広島や長崎などに集う形での開催を断念し、初めて世界各地をビデオ会議システムでつないで実施する。初日は平和活動家や被爆者たちが核兵器のない世界を実現する道筋を議論した。

 大会運営委員会の野口邦和代表は東京から「広島、長崎で開催できないことは非常に残念。オンライン大会で核廃絶の流れを促進し、平和運動を結集させよう」と呼び掛けた。

 日本被団協の児玉三智子事務局次長(82)はあいさつで7歳の時に広島で被爆した体験を語り、「この世の地獄を見た。あの苦しみを世界の誰にも味わわせてはならない」と訴えた。

 カナダから参加した広島市出身の被爆者サーロー節子さん(88)は非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN(アイキャン))の被爆75年のプロジェクトとして、核兵器禁止条約への署名、批准を求めて世界197の国・地域の首脳に自身の名前で書簡を送ったことを紹介。「特に安倍晋三首相は被爆国として特別な道徳的責任があり、核廃絶運動のリーダーとなるべきだ」と強調した。

 その後、日本や欧米、アジアの平和活動家や研究者たち9人がパネル討論。トランプ米大統領の核政策の問題点などを話し合った。9日までオンラインで大会を続ける予定で、6日に広島デー、9日に長崎デーを設定している。

 原水禁国民会議などの原水爆禁止世界大会は6~12日、オンラインで集会を開き、事前収録した動画を中心に配信する。(河野揚)

(2020年8月3日朝刊掲載)

年別アーカイブ