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「黒い雨」援護 拡大を 岸田氏発言 政府判断に影響か

 自民党の岸田文雄政調会長(広島1区)は3日の記者会見で、広島原爆の「黒い雨」訴訟で原告84人全員を被爆者と認めた広島地裁判決を受け、国の援護対象区域について「拡大を考えていくべきではないか」と述べた。自民党の政策責任者の発言は、「黒い雨」を巡る政府判断に影響を与える可能性がある。

 岸田氏は会見の冒頭、自ら7月29日の判決に触れた上で「(国に対し)広島県や広島市は今までも拡大を求めてきた」と指摘。「こうした経緯を振り返ると、範囲の拡大はしっかり求めていかなければならないのではないか」と述べ、被爆地選出の国会議員たちと連携して政府に「線引き」の見直しを求める考えを示した。

 控訴期限が12日に迫る中、敗訴した被告の県と市は、被爆者援護を所管する厚生労働省に控訴を断念するよう要望している。この点については「政府は今、県、市と調整しながら対応を検討しており、その状況を党も注視している」と述べるにとどめた。(下久保聖司)

(2020年8月4日朝刊掲載)

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